Friday



今日は雨
雨の日には 雨の日を思い出す

夕方会う約束だった彼女は
仕事の合間に 知らず知らずティッシュで照る照る坊主を作っていたそうで
上手に出来たから こんど見せてあげるねと
笑顔で話していた

お気に入りの傘があった
内側に 青空をプリントした布が張ってあって
面白いでしょう、あら面白いと言いながら
青空の絵なんて ろくに見上げもせずに
何の話をしていたのか そこのところは記憶がなくて
音声の途切れたテレビのように
記憶の中 傘をさした二人が楽しげに話し続ける

ところで こうして思い出すこと自体 
背徳的なのは
自覚がないわけでもなくて
思い出に 心を濡らしたあとは 
滲みるように痛む 
雨が細かく上着をを貫くように

綺麗な言葉を選ぼうとするのは
そうありたいという願望の現われで 
心清ければ
詩のような文章などで書かずに済むのだろう 
心のお化粧
素顔では 出歩くことをためらう

花は 美しいということの意味を知らない といった言葉があった
心の安らぎを花に求めるのは そんな理由もあるのかもしれない